梅味の世界を薬膳と栄養でひも解く

先日、マツコの知らない世界で【梅味の世界】が放送されていました。

私も梅味好き。梅味というより梅干しが好き。

でも番組によると梅味のお菓子は増えているのに、一人当たりの梅干しの消費量は15年前の2/3ほどに落ち込んでいるそう。糖質制限が流行ったことでご飯のお供も敬遠されたのかな…。

今年は初めて梅仕事にチャレンジして梅干しと梅酒を仕込みました。梅一粒一粒が愛おしく、一日一日の変化に心癒される毎日だったな。今でも保存瓶を見れば癒されます。

日に日に琥珀色になっていった梅酒。年末年始に飲むのが今から楽しみ。青梅ではなく熟させた梅で仕込んだので、落ち着いた味になるのかななんて思ってます。

梅仕事の時季、梅雨はいろんなところで梅の効能など発信されるけど、それ以外の時季はあまり見かけないですね。でも年中食べて問題ない、むしろ年中食べると良い食材だと思っています。

梅味の世界を薬膳と栄養でみていきます。

【梅味の世界】その①薬膳の視点でみると

薬膳では酸味・苦味・甘味・辛味・鹹(塩辛いとかミネラルが多いことを表す)味、それぞれの味そのものに働きがあるとされています。

梅干しをイメージしたり、口に入れたりしたとき、身体の反応はどうでしょう?

ほわ~っと筋肉が緩む、リラックスするような感覚はしないと思います。
反対にキュッと引き締まるような感覚、唾液がじわっと出てくるような感覚がありませんか。

それが酸味の働きなのです。もっと具体的にいきますね。

キュッと締まる感覚、引き締めることで汗をだらだらかき過ぎるのを防いだり、汗以外にも体液の漏れ、下痢の漏れを防ぐような働きをします。

そして唾液がじわっと出る反応で分かるように、自分で体液を生み出せる味です。乾燥する時季だと、自分で自分を潤すことができます。

まとめると

①引き締めて体液を身体にとどめる

②体液を生み出す

あと咳止めや痰を取り除く働きもすると言われています。

※ただし食べ過ぎは注意。どの味も味が偏ってしまうと、その作用が強すぎて負担がかかったり、別の反応を導いてしまいます。あと生食もNGです。

ちなみに漢方薬でも梅は使われていて、未熟で乾燥・燻製させたもので烏梅(うばい)といいます。

上海で生活していたときに見た梅は、日本みたいにジューシーな梅干しではなく、干し梅やプルーンみたいなドライフルーツのようなものでした。それがまた美味しくて。ご飯のお供というよりは、おやつのような存在かもしれません。

以前薬膳レストランで働いていたときに、中国人のコックさんが干し梅にお湯を注いで飲んでいたのを思い出します。キッチンは暑いから汗対策だったのかなと思います。

【梅味の世界】その②栄養学の観点で見ると

やはり栄養学でも酸味はポイントになります。

酸味のある食材に多く含まれるクエン酸。もちろん梅からも摂れます。

①疲労回復

疲労回復に良いと言われています。糖質からエネルギーを生み出すときに働いてくれます。

②ミネラルの吸収をサポート

そして鉄、マグネシウムなどのミネラルは日本人は不足していると言われたり、吸収しにくいと言われたりしていますが、クエン酸はこれらのミネラルに結びついて吸収をサポートしてくれます。

イワシを梅干しで煮て骨を柔らかくするのは、この性質がうまく利用されていますね。

③殺菌効果

そして殺菌作用も期待できます。ここはお弁当やおにぎりの梅干しで食中毒を防ぐことは有名な話だと思います。(ただし梅が触れている部分だけ作用すると言われている)

この殺菌作用は身体の中でも期待できて、食中毒菌や胃腸に存在するピロリ菌、カビ毒にも作用すると言われています。

④消化を助ける

私の梅習慣(ご飯のお供メイン)が続いている大きな理由はこれです。消化を高めたい。

昔はなかなかの大食漢で食べっぷりを称賛されるくらいでしたが、今はもうないですね。胃腸をいたわれというサインだと思っていますし、どうしても日本人は胃腸が弱りやすい傾向にあります。なので梅干しの力をいただいてます。

薬膳で胃腸(脾)についての理解が深まったことも大きいです。

薬膳の視点の話で出てきたように、酸味は自分で体液を生み出す味です。唾液や胃酸の分泌を促す、つまり消化酵素が出てきやすくなります。

この消化がうまくいかないと、胃もたれだけではなく、消化不十分で免疫系が反応し腸で異物扱いされ、アレルギー体質に繋がりやすくなります。

【梅味の世界】その③梅味の組み合わせ例

そのままご飯のお供にするのが手っ取り早いですが、他に食べておいしいなと思うのは…

魚×梅味。先ほどでてきたイワシの梅煮も良いですが、鯖など青魚を焼くときの照り焼きのたれに梅を利かせても美味しいです。蒸し魚のタレに梅味使ってもさっぱり。

鶏肉×梅味。よくささみと大葉と梅の組み合わせみますが、鶏肉は薬膳では「脾」(消化機能)を労わってくれるので、胃腸が疲れた時にも良い組み合わせだと思います。お粥の具材にも良いかと◎

しらす×梅味。梅しらす炒飯が好きですが、梅しらすの混ぜご飯も美味しいですね。しらすからミネラルが摂れるので、梅と食べることで吸収されやすくなります。

まとめ

もちろん汗のかきすぎや疲労回復など夏に嬉しい効果はありますが、それ以外にもまだまだ活躍できる梅。年中常備しておきたい食材の一つだと思います。

自分で漬けた梅干しは熟成中で、今は大分県大山町の梅干しを食べています。塩と梅酢のみのシンプルな味付けです。

梅干しにすることで年中食べられるようにした先人の知恵は素晴らしいですね。

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